大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)655 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一点について。

論旨は、原判決は人権に関する世界宣言を無視した違法があり憲法違反である旨

を主張するのであるが、右世界宣言は条約ではなく法令でもないから、論旨は法令

違背を理由とするものでなく、また、違憲の主張はその前提を欠き理由がない。

同第二点について。

論旨は、買収売渡の期限を勝手に伸張し本件買収をしたのは違法である旨を主張

するのであるが、右の期限を定めた自作農創設特別措置法施行令二一条は、昭和二

三年一二月二七日政令三八三号によつて削除されているから其の後に行われた本件

農地の買収売渡を違法とすべき理由がなく、また、本件買収が所論のように私擅通

牒によつて行われたものとすべき理由はない。

同第三点について。

論旨は、原判決が第一審の訴却下の判決を違法としながら、附帯控訴がないとい

う理由で控訴を棄却したのは違法であるというのである。しかし、原判決は訴却下

の一審判決を取り消し請求を棄却することは控訴人に不利益に一審判決を変更する

ことに帰する旨を説明しており、訴却下の判決があつた場合に被告から控訴するこ

とができないことではないから、原判決が附帯控訴がないという理由で上告人の控

訴を棄却したのは正当である。論旨は理由がない。

同第四点について。

論旨は、自作農創設特別措置法による農地の買収は人権に関する世界宣言一七条

に違反し憲法に違反するというのであるが、右世界宣言が法令でないことは前述の

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とおりであり、また同法による農地買収は公共のためであり、同法所定の買収対価

は正当な補償と解すべきであるから論旨は採用できない(最高裁昭和二八年一一月

二五日判決、判列集民七巻一二七三頁、同年一二月二三日判決、判例集民七巻一五

二三頁参照)。

なお、買収後町村合併があり、上告人が在村地主になつたからといつて本件買収

の適否とは関係がない。

同第五点について。

論旨は、自作農創設特別措置法は憲法に違反し無効であり、従つて、同法により

本件土地を買収しても、なおその所有権は上告人にある旨を主張するのであるが、

同法による農地買収が無効でないことは前述のとおりであつて、論旨は到底これを

採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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